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第33回 帝王賞(Jpn1)
【予想】
◎サクセスブロッケン
○フリオーソ
▲スマートファルコン
△ヴァーミリアン
△アドマイヤスバル
△カネヒキリ
△マコトスパルビエロ

 前走かしわ記念の敗因は掴み切れないものの、中間の気配の良さに注目してサクセスブロッケンに期待。先行争いの直後から抜け出すとみました。ヴァーミリアン、カネヒキリは休養明けのハンデ。順調の強味でフリオーソ、スマートファルコンが相手本線。

【レース】
 フリオーソ、スマートファルコン、どちらかの逃げとみていましたが、1番枠からハナを主張したのが内田博サクセスブロッケン。戸崎フリオーソ、岩田スマートファルコンと続いて、横山典カネヒキリは中団6、7番手。その直後に福永ヴァーミリアン。最近の帝王賞、東京大賞典の中では結構速目の流れ。馬なりで4コーナー先頭に並びかけたのがフリオーソ。サクセスブロッケンとの手応えの差は歴然。内から外に切り替えてジリジリ伸びてきたのがカネヒキリ。内を突いたのが的場文ボンネビルレコード。更には勝浦アドマイヤスバルなども差を詰めてきましたが、それらを尻目に完封勝利を収めたのがフリオーソ。悲願の打倒カネヒキリ、ヴァーミリアンを果たしました。

【上位馬の寸評】
1着 フリオーソ
 今年に入り川崎記念でヴァーミリアンの2着。ところが3連覇を狙ったダイオライト記念で新星フサイチセブンに完敗の5着。年齢的にも現状維持が精一杯とみていたところ、かしわ記念では王者エスポワールシチーを本気にさせて2着と好走。評価が揺れるところですが、順調の強味と、最も持ち味が生きる大井の2000メートルで有力候補とみていました。レースは好スタートを決めましたが、内の内田博サクセスブロッケンがハナを主張したので無理せず外2番手から。折り合いはスムーズ。勝負処からの手応えが抜群で、4コーナーでは既に一杯加減のサクセスブロッケンを交わす勢い。あの流れで行って、上がり3ハロンはメンバー最速の37秒8。正に付け入る隙を与えぬ完勝でした。この日はプラス2キロの505キロ。この500キロちょっとくらいが、バランス的にちょうどいい感じ。いい汗をかいて適度な気合乗り。大物2頭に全盛期の力?ということもありますが、非常に中身の濃い走り。まだまだ衰えがないことをアピールしました。南関で孤軍奮闘、今後のG1路線での活躍を期待。

2着 カネヒキリ
 昨年のかしわ記念以来、約14ヶ月ぶりの出走。攻め馬はキッチリやっているとはいえ、御年既に8歳。半信半疑が正直なところでした。注目のパドックでしたが、失礼ながらこれが意外に好気配。プラス10キロの533キロでも全く太目感はありません。実際川崎記念を勝った際は同じ533キロです。気合乗り十分で威風堂々と周回する姿は以前と変わらず。あとはレース勘がどうかという点でした。レースは出たなりで先行。外枠から徐々に内に寄せて行ったところ、ちょうど馬群の切れ目でラチ沿いの6番手をゲット。流れを考えると理想的なポジション。実にスムーズな行きっぷりで、4コーナーでは内3番手まで進出。直線は外に切り替え、手応えほどは伸びませんでしたが、それでも渋太く2着に粘るあたりはさすが。奇跡の復活、夢よもう一度。このまま順調に行けば、再びビッグタイトルのチャンスが巡ってきそうです。

3着 ボンネビルレコード
 帝王賞、かしわ記念、日本テレビ盃を勝った古豪も既に8歳。JRAから返り咲き緒戦の大井記念はセレンの2着ですが、最近の指定交流好走では、意識的に先に行っても入着がやっとという状況。ここで上位に食い込んでくるとは、正直予想していませんでした。この日はマイナス5キロの483キロ。それほど目立つ気配ではありませんでしたが、落ち着いていたのは好材料。レースはスタート五分に出て内9番手から。うまい具合に前が開いて3コーナーあたりでは6番手に。最後の直線も内に突っ込んで正味目イチの競馬。一瞬2着があるかと思わせる大健闘でした。自分の時計だけ走ったとも言えますが、まだまだ衰えは緩やか。それとこの馬は、ジックリ構えた方が持ち味が生きるようです。南関限定の2000メートル以上の重賞レースならいつでも主役クラス。

4着 アドマイヤスバル
 重賞レース1勝は2100メートルの白山大賞典。2000メートルのブリーダーズゴールドCではスマートファルコンのレコード駆けの2着、フリオーソには先着。前走のかしわ記念(1600メートル)は1秒1差の3着ですが、2000メートルなら際どい勝負に持ち込む可能性もあるとみていました。この日はプラス7キロの511キロ。案外スリムな体型の馬でシャープな体付き。馬体増は好調の証と判断。毛ヅヤの良さも目につきました。レースはスタート躓き気味。勝浦騎手が気合をつけて行ったものの8番手から。3、4コーナーからマクって出て直線も外目に進路を。ジリジリ差を詰めて4着は、道中の運びを考えれば好走の部類でしょう。やはり長目の距離の方が合っている感じ。ただし、ゴール入線の際にトモを落としてバランスを崩しており、その影響がちょっと心配です。

5着 セレン
 強行軍で大井記念を使った後、少しレース間隔があいたので不安もありましたが、外見的にはいつも通りで、体をフックラ映して適度の気合乗り。とにかく芯の強い馬、そして好調期間が長い。レースは予想通りに石崎隆騎手がジックリ構えて追い込み勝負。人気薄の気楽さもあり当然の戦法です。それなりに流れに乗って追撃態勢に入りましたが、最後は同じ脚になり5着まで。やはりこの馬には時計が速過ぎました。昨年の東京大賞典では見せ場十分の4着でしたが、この時は2分5秒後半の決着。この馬がこのレベルの争いで一矢報いるとすれば、スローの瞬発力勝負になった際でしょう。

6着 スマートファルコン
 交流重賞10勝はいずれもG2、G3。果たしてG1のメンバーに入ってどうか、距離の2000メートルがどうかですが、昨年のブリーダーズゴールドC(2000メートル)ではフリオーソを競り潰してレコード勝ち。それを秤にすれば、楽に克服、通用可能。要は気分行けるかでした。当然この馬の逃げは十分に予想されましたが、内枠の先行2頭好スタート。特に内田博サクセスブロッケンが完全に行く気になっているので、内に寄せつつ3番手からの競馬。その並びで4コーナーまでは我慢が利いていましたが、最後の直線ではアラアラ一杯の脚いろで6着に敗退。初めての大井コースに戸惑ったのか。長目の距離で好走しているとはいっても、基本的にはスピードタイプで1600メートル以下がベターか。それと追って速い脚を使えるわけではなく、逃げた方が良さそう。この日はプラス6キロの500キロ。多少テンションが上がり気味なのはいつものこと。馬は非常に良く見せていました。

7着 マコトスパルビエロ
 昨年のJBCクラシック(1900メートル)でヴァーミリアンに頭差2着など長目の距離に強い馬。G1を勝つには基本的なスピード能力、絶対能力に欠ける気がしますが、2着くらいならあるかなとみていました。レースは安藤勝騎手が気合をつけて外5番手から。積極的に進めましたが、最後の直線では完全に脚いろ一杯になり7着。非常に活気がありいい雰囲気だった割に不甲斐ないレースぶり。G1では役不足ということでしょうか。距離、メンバーなど条件が揃えば、まだまだ活躍できる馬。

8着 サクセスブロッケン
 昨年12月の東京大賞典ではヴァーミリアンに競り勝ち優勝。好仕上がりと見えた割に呆気なく敗れた前走のかしわ記念が案外ですが、今のこの馬の場合は2000メートルくらいの方が合っていそう。中間の稽古も動いたとのことで、大賞典の再現に期待しました。この日はプラス2キロの527キロ。昔に比べれば見違えるほど落ち着いてきたし、馬体もひと回り成長。前走が前走だけに安心はできないものの、万全の仕上がりとみました。フリオーソ、スマートファルコンに行かせて3番手からという流れを予想していましたが、蓋を開けると内田博騎手がハナを主張。内枠で包まれるのを嫌ったのでしょう。多少速目のペースとはいえ、この馬の能力を持ってすればそれほど負担がかかるペースではなかったはず。それが2番手フリオーソに潰されて8着とは愕然。逃げが裏目に出たというよりも、デキが伴っていなかったとしか思えません。次の評価が揺ぎます。

9着 ヴァーミリアン
 ブッツケで帝王賞は昨年と同じパターン。ただし、あれから1年たって今年8歳。昨年12月の東京大賞典ではサクセスブロッケンに敗れ、年明けて川崎記念ではフリオーソを破り1着ですが、ちょっと手こずった感じも。稽古動かないタイプにせよ、直前の追い切りは今イチ。微妙に寄る年波が…。△は打ったものの、危ない人気馬とみていました。ただし、馬の気配は決して悪くありません。馬っぷりの良さは相変わらずだし、活気があり外見的には非常にいい。レースは出たなりで外7番手からの競馬。勝負処からマクって出て一旦は4番手まで上がったものの、いつもの前を呑み込むような勢いがありません。最後の直線は完全にバテて9着。G1路線での復活は難しいかも。