第56回 東京大賞典(Jpn1)

【予想】
◎フリオーソ
○スマートファルコン
▲アドマイヤスバル
△シルクメビウス
△ワンダーアキュート
△バーディバーディ

 JBCではスマートファルコンに完敗を喫したフリオーソ。
ただし必ずしも万全の仕上がりではなかったのと、相手の強攻策にリズムを崩した感じも。得意の大井二千なら反撃必至とみました。当然スマートファルコンとのガチンコ勝負。
必要以上に競り合いがヒートアップした際にアドマイヤスバル、シルクメビウスなどが浮上。

【レース】
 好スタートを決めた戸崎フリオーソが逃げる勢い。武豊スマートファルコンが馬の気を
損なわず無理なく単騎先頭に立ったのは2コーナーの地点。池添バーティバーディが
3番手で、その直後に小牧太アドマイヤスバル、内田博シルクメビウス
和田竜ワンダーアキュートなど人気馬がひしめき合う状況。流れは緩みないハイペース。
コーナーにかかってもペースが緩まず、2番手以下は離され気味、タテ長の展開に。
セイフティリードを取ったスマートファルコンが、フリオーソの追撃を難なく抑えて1着ゴール。破格のレコードタイムを叩き出しました。

【上位馬の寸評】
1着 スマートファルコン
 JBCクラシックでは意表を突く逃げの手。驚異的なラップを刻んで楽勝を演じた同馬。
前走の浦和記念は行きがけの駄賃。この日の気配も素晴らしいものでした。
以前のうるさい面がスッカリ解消して体付きも立派になり毛ヅヤも上々。気分良く
行かれたら仕方ないか…という雰囲気。レースは好スタートを決めたライバルを
横目に出たなりの競馬。無理なく自然にハナに立ったのが2コーナーあたり。快調なラップを刻み、後続の脚をなし崩しに使わせる得意の戦法。更に普通ならペースが緩む
コーナーにかかってからもストライドを伸ばし、苦しくなった2番手以下の各馬は
置かれ気味に。最後の直線は有り余る貯金を生かして楽にゴールを駆け抜けました。
脚抜きのいい馬場にしても2分0秒4は桁違いの速さ。これは間違いなくダートの最強馬。
これだけ速いラップを連続して刻めるのだから、展開がゴチャつく短目の距離よりは
千八〜二千のくらいの方が競馬はしやそうです。いよいよ海外遠征も視野に。

2着 フリオーソ
 前走のJBCクラックは、スマートファルコンによもやの完敗。ただし意表を突かれて
リズムを崩した感じもあるし、当時より順調な調整過程で得意の大井二千なら
雪辱できるとみました。この日はプラス1キロの508キロ。相変わらず抜群の馬っぷりで
適度な気合乗り。毛ヅヤの良さも目立ち、申し分ない仕上がり状態。レースは
好スタートを決めて戸崎騎手が気合一発。外のスマートファルコンの出鼻をくじこうとする
姿勢。相手が譲らず来ると、引いて外に切り替え2番手。恐らくこれは陣営としては
青写真通り。ジカ付けで進みましたが、3コーナー過ぎから振り切られる形で3馬身ほど
リードを許し直線へ。2番手を粘り込んだのはJBCと同じパターンですが、今回は死力を
振り絞って2馬身足らずまで接近と、中身は全然違います。相手があまりにも速く
強過ぎただけ。年明けて7歳ですが、2歳時から南関を牽引してきた実力は
依然健在というか、益々盛んと言っていい。何かこれに続く馬は出てこないものか。

3着 バーディバーディ
 休養明け3戦は古馬を相手に5、6、4着とひと息ですが、前走のジャパンカップダートは勝ちに行く競馬で1馬身圏内に踏ん張り地力強化をアピール。距離二千は微妙も、折り合えばソコソコやれそうな感触はありました。この日は増減なしの482キロ。ジャパンダートダービーで一度大井を使っていますが、その時と同様キビキビと前向きに周回する姿に好感。馬体もひと回り成長して仕上がり上々と判断しました。レースは池添騎手が多少気合をつけて外3番手から。このペースを苦もなく先行するのだから、さすがにスピードは非凡です。3コーナー過ぎに追走が苦しくなり置かれましたが、3番手を死守。最後は流れ込む形の3着ですが、最強馬2頭について行ってのものだけに価値が高い。復帰後の初勝利は時間の問題で、今後の交流路線の主力級に躍り出そう。距離は千六くらいが合っているのでは。

4着 アドマイヤスバル
 これまで重賞レースは白山大賞典の1勝のみですが、前走のジャパンカップダート3着も含めて、毎回掲示板には乗る(5着以内)超堅実駆け。人気2頭に破綻があれば
当然浮上してくるのはこれとみていました。この日は増減なしの520キロ。船橋のJBCの
時(506キロ)はモッサリした感じだったのに、それとは対照的に馬体の張り、気合乗りとも
に上々で、体調アップを確認。レースは小牧太騎手が出ムチ連発の積極策。
これは勝ち味の遅さを補うべく予定の作戦か。内4番手をゲットして追走。勝負処で
置かれましたが、直線もインに突っ込み極力ロスを避けた目イチの競馬。どう乗っても
このスピード決着ではこれが精一杯でしょう。年齢的な衰えは全く感じられないので
メンバー次第では重賞制覇のチャンスは十分ありそうです。

5着 シルクメビウス
 今年ブリーダーズゴールドカップでカネヒキリを並ぶ間もなく交わして圧勝。ただし
続くJBCは完全にスピード負けの4着。前走のジャパンカップダートは人気を下回る5着と
評価が揺らぐところ。この日はマイナス3キロの493キロですが、体重の割に
案外スマートな体型で、あまりダートのA級馬という印象は受けない。
正直人気ほどは…とみていました。レースは強力なライバルを意識したのか
内田博騎手がかなり気合をつけて5番手から。ペースが速いだけにかなり追っての
追走になり、徐々にスタミナを消耗。いつもの切れ味を発揮できる状況ではなく
流れ込んだ程度の5着に終わりました。やはりこの馬は差しに構えてこそ本領発揮。
地方のダートではあまり信頼できません。

7着 ゴルトブリッツ
 JRAでは芝未勝利ですが、道営2連勝を挟んで返り咲き緒戦もダート戦を1着。
都合ダートは3戦3勝の高相性ですが、所詮五百万レベルの話。どうみてもこの
メンバーで通用するとは思えませんでした。ただしこのレース、緩みない流れで一列棒状
ポジションを上げる馬がほとんどいなかった中にあって、この馬だけ外マクって出て
一瞬見せ場を作っており、内容的には悪くない。まだキャリアが浅く、馬っぷりのいい
3歳馬。今後面白い存在に成長してくるかも。

10着 ワンダーアキュート
 休み明け3戦目、調子を上げての挑戦だけにちょっぴり気になりましたが、この日は
マイナス16キロの494キロ。見た目にもやや腹目のあたりが寂しくなっていたし
テンションが上がり気味。中1週のローテーションが意外に応えたのか。レースは
先行グループに加わったものの、勝負処で手応えが怪しくなり10着と敗退。
このデキでこのペースを追走しては失速もやむなし。立て直してくれば当然挽回が利く。