第55回 金盃(S2)

【予想】
◎スーパーパワー
○ボンネビルレコード
▲マズルブラスト
△サイレントスタメン
△タートルベイ
△ドリームトレジャー
△カキツバタロイヤル

 東京大賞典では超高速決着に対応して後方から差を詰めたスーパーパワー。地方馬ではフリオーソに次ぐ着順で二千を2分2秒7なら文句ナシ。斤量有利でここは勝てるとみました。実績重視でボンネビルレコード、マズルブラスト本線。

【レース】
 好スタートからツルオカオウジが逃げる態勢でしたが、町田騎手が他馬の動向を窺い慎重な運び。そこで内からハナに行ったのがCデムーロ騎乗のマズルブラスト。グラストップガン、フリートアドミラルと続き、その内に潜り込むようにスーパーパワーが早目の競馬。前半35秒5〜47秒9〜60秒1でも、馬場を考えればほぼ平均ペース。最後の直線は一旦先頭に立ったツルオカオウジを目がけて後続勢が殺到。スーパーパワーがシーズザゴールドの追撃を四分の三馬身抑えて人気に応えました。

【上位馬の寸評】
1着 スーパーパワー
 東京大賞典では二千を2分2秒台で走破。勝島王冠がフロックではないことを証明。今回の斤量の54キロはかなり有利。まともなら仕方ないところですが、何しろ後方一気が定番。この多頭数をどう捌くかがポイントでした。ところがレースでは意外にスピードの乗りが良く、2コーナーを回った時点では内5番手の好ポジション。タートルベイが動いてきた際は、遅れてならじと真島騎手がひと気合。終始前を射程圏内に。最後の直線は余裕を持って外に持ち出し、キッチリ差し切りました。この馬にしては珍しいというか、別馬のような正攻法のレース運び。完全に馬が変わったとみるべきでしょう。今後も外コース千八以上の距離なら大崩れは考えられません。この日はプラス1キロの533キロ。以前より活気があり、馬の雰囲気も変わってきました。

2着 シーズザゴールド
 羽田盃を勝ったこの馬も、休養を挟み岩手遠征のダービーグランプリで1番人気3着。前走の報知オールスターCは4秒1差のブービー。すっかり株を下げる形。現状で斤量58キロでは、どうみても印は付け切れませんでした。この日はマイナス3キロの487キロ。体つきは丸味を帯びていますが、相変わらずテンションが高く、気配的にはいつも通り。レースは出たなりで中団9番手をポツンと追走。折り合いはスムーズ。勝負処から進撃開始で、手応え良くマクり大外へ。最後の直線も渋太く脚を伸ばし、スーパーパワーにも迫る勢いでした。好走の要因としては、道中あまりモマれずに行けたことか…。この馬は羽田盃がそうだったように、ジックリ溜めて、ここぞという時に一気に攻めるメリハリの利いたレース運びが合うようです。それにしても58キロでこの走りは掛け値なしに優秀。まだ全幅の信頼は?でも、目が離せなくなってきました。

3着 フリートアドミラル
 JRAデビューで8戦目までに5勝を挙げ、オープン入りした実力馬。ただし、5歳以降の成長力ひと息。道営経由で2、1着と弾みをつけての転入ですが、正直半信半疑でした。この日はプラス16キロの522キロ。川島正行厩舎だけに、カイバを食わせ込んで大きく造ってきたようですが、さすがにJRAオープンという馬っぷりの良さ。適度に気合も乗り、走りそうな雰囲気はありました。レースは出たなりで外4番手から。勝負処で動いて出たものの、外から被せて来るシーズザゴールドの脚勢に押されがちで脚いろ今イチ。ただし一旦置かれながらも、ジリジリ脚を伸ばして3着は見処十分の走り。環境が変わり、再生する可能性は十分にあると思います。

4着 ツルオカオウジ
 前走の勝島王冠は10着に破れ、古馬オープンの壁を痛感。そこから豹変までは?でも、展開を考えるとこの馬が楽に逃げる可能性もあり、無印とはいえ、ちょっと気になる存在でした。この日はプラス3キロの539キロ。相変わらずボリューム感満点の好馬体で、馬っぷりの良さではメンバー屈指。毛ヅヤも上々で、デキは文句なし。レースは好スタートから逃げる態勢でしたが、町田騎手がハナには拘らず、マズルブラストに行かせて外2番手。折り合いスムーズに進み、4コーナーでは内マズルブラスト、外タートルベイの中で3頭併走の形。最後の直線は一旦先頭に立つシーンもありましたが、我慢が利かず4着。重賞レースで勝ち負けするにはもうワンパンチ欲しい。

5着 タートルベイ
 東京大賞典には金沢代表として参戦して3秒9差の11着。レベル差を痛感といったところですが、まだ太目が残っていたのも事実。JRAではオープンの実績、馬っぷりの良さからも、変わる可能性ありとみていました。この日はマイナス3キロの512キロ。みっちり調教を積んで、多少なりとも絞ってきた感じ。レースは吉原騎手がかなり気合をつけて序盤は外6番手。向正面の中間地点あたりからいち早く動き3番手。そして4コーナーでは先頭に並びかける勢い。アワヤと思わせましたが、最後は差し馬勢に殺到されて5着。勝ちに行く競馬をしてこの結果ならマズマズでしょうか。まだ良化が見込める体つきで次走も要チェック。

6着 カキツバタロイヤル
 休み明けの報知オールスターCは3秒2差の10着。叩いての変わり身次第では入着ライン、という程度の評価でした。この日はプラス9キロの432キロ。増えたのは好材料。ただし、パドックではあまり気合を表に出さないタイプで気配は目立ちません。レースは中団7番手から内を進出して、最後の直線も内を突いて6着。正味目イチの競馬。ガサがないので、どうしても力勝負になると部が悪い。出番があるとすれば手薄なメンバーのS3、そして距離はもう少し短い方が良さそうです。

7着 ドリームトレジャー
 ブルーラッドを破った転入緒戦の埼玉栄冠賞が鮮やか。以降ひと息ですが、意外性のある馬なので、ここまで人気を落とせば、ちょっと魅力がありました。この日はマイナス6キロの487キロ。これは絞れた分と好意的に判断。レースは後方10番手を進み、僅かに詰めた程度の7着。大外枠の分、埼玉栄冠賞のように、内に突っ込む競馬ができませんでした。デキは悪くないので、自己条件のA2戦なら油断できない。

8着 ボンネビルレコード
 往年の切れ味は失せたとはいえ、勝島王冠は58キロで2着。このレベルの争いで斤量56キロなら有力とみていましたが…。この日はプラス2キロの488キロ。少し間隔があいてもそう太くならないタイプ。キッチリ仕上がり活気もあり、現状のこの馬としては好仕上がりと判断しました。レースは出脚が鈍く後方13番手から。勝負処から的場文騎手が盛んに叱咤するものの反応今イチ。最後は大外から差をつめて1秒圏内ですが、勝ち負けからはほど遠い内容。今後も実績を鵜呑みにするのは?

10着 マズルブラスト
 昨年の金盃の覇者。手薄なオープン特別とはいえ、前走の大師オープンを1着。元来距離はオールマイティ。好枠からスンナリ先行と読めば怖い一頭でした。この日はプラス1キロの543キロ。相変わらず馬っぷり抜群で9歳という年齢を感じさせません。レースはスタートひと息。ただし、他に拘る馬がおらず馬なりでハナに。ツルオカオウジのマークを受けたものの、それほど負荷のかかるペースではない。ところが直線入口で呆気なく交わされて失速は案外。逃げが裏目に出たのか…。ちょっと次が心配になってきました。