第8回 スパーキングサマーカップ(S3)

【予想】
◎ディアーウィッシュ
○グランシュヴァリエ
▲コスモフォース
△タートルベイ
△フサイチピージェイ
△ウツミランカスター
△ベルモントルパン

 川崎マイラーズでは女傑級のザッハーマインに力負けしたディアーウィッシュですが、マイル戦での安定感は抜群。今回も外目好位の勝ちパターンに持ち込めそうだし、斤量面も有利で、昨年に続いての連覇が濃厚とみました。同じく距離適性高い高知のグランシュヴァリエ、上がり馬コスモフォース相手に有力。

【レース】
 外枠からダッシュを利かせてヴァイタルシーズがハナ。シャインウェーヴが2番手に行き、逃げ候補のフサイチピージェイはスタートひと息で3番手から。人気のディアーウィッシュは先行グループの馬込みの中。ペースはやや速目。中団から一気に進出してこ好位に取りついたベルモントルパンが、直線もジリジリ脚を伸ばして1着ゴール。中団内から外の切り替えたウツミランカスターが2着。後方から最内を突いたザグが3着。波乱の結末となりました。

【上位馬の寸評】
1着 ベルモントルパン
 JRAでは芝の中距離主体でダート経験は3戦のみ。その対応がカギですが、前走で前進が見られたのと、最終追い切りが抜群に動いたので気になる存在でした。この日はマイナス1キロの498キロ。転入当初に比べると体つきが引き締まり、活気もあってなかなかの好気配。レースは石崎駿騎手が多少気合をつけて外7番手から。3コーナー手前から一気に動いて4コーナーでは3番手まで接近。終いスパッと切れる脚は使えませんでしたが、後続の追撃を凌ぎ切りました。着差は僅かでも自力でマクり上げての勝利は価値大。時計の1分39秒2も悪くない。7歳という年齢から大きな上積みは?ですが、ダートが馴染んだとあれば今後も要注目。

2着 ウツミランカスター
 昨年は7〜9月にかけてA2下条件を3、2、1、1着。今年も夏場を迎えて3戦連続3着と同じパターンですが、オープンに入るとやや決め手不足。好枠を生かして上手く立ち回った際に2、3着くらいはあるかなという程度の評価でした。この日はマイナス2キロの481キロ。ひと頃に比べると毛ヅヤが全然違うし、この馬にしては気合乗りも上々。よほど夏場がいい馬なのでしょう。レースは好スタートから内6番手。勝負処から前が窮屈になるのを避けて外に切り替えマクる態勢。上がりのかかる競馬に乗じて2着まで押し上げました、流れに乗れた感じもしますが、高速決着に対応できたのは大きな収穫。7歳とはいえ、全く衰えは感じられません。

3着 ザグ
 過去ただ一度の重賞挑戦は、埼玉栄冠賞7着。瞬発力は非凡ですが、それも自己条件でのもの。このメンバーに入ってはちょっと厳しいかなとみていました。この日はマイナス2キロの456キロ。特に変わりはありませんが、気合が乗ってマズマズの気配。レースは出脚ひと息で内9番手からの競馬。ジックリ構えていたところ、勝負処から前にいたウツミランカスターが外に持ち出し、その間隙を突くように、開いたインを進出。そして直線も狭いラチ沿い。渋太く脚を伸ばして3着に押し上げました。終始経済コースを回る利点があったとはいえ、この時計で走れれば上等。相手なりのタイプで自己条件に戻って即、というわけにはいかないでしょうが、能力の一旦は示しました。

4着 シャインウェーヴ
 昨年は夏場に調子を落とした同馬。今年は4月のレースを使った後に間隔をあけて約4ヶ月ぶり。中間の乗り込みは入念。最終追い切りの動きも上々。仕上がりは良さそうですが、メンバー、展開面からはやや分が悪いとみました。この日はプラス2キロの486キロ。大人しいのはいつも通りですが、昨年の夏場に比べると毛ヅヤがいい。馬っぷりの良さは相変わらずだし、やはり休養を入れて英気を養ったかいがあったようです。レースは好スタートから的場文騎手が気合をつけて外2番手へ。ヴァイタルシーズをマークする形。終始そのポジションをキープして直線へ。緩みない流れに晒され、最後は内外から差し馬に殺到されましたが、ヴァイタルシーズには競り勝って4着なら上等でしょう。これも持ちタイムを短縮して7歳とはいえ衰えなし。

5着 コスモフォース
 JRAでは一千万条件で頭打ちでしたが、転入後は5戦3勝。川崎マイラーズではザッハーマイン、ディアーウィッシュに続く3着。以降2連勝。勝ち方にインパクトがあるし、馬っぷりも上々。魅力がある馬です。この日はマイナス3キロの501キロ。稽古の動きが今イチとのことですが、外見的には相変わらず気合乗り十分の好馬体。毛ヅヤも良く、決して悪くは見えませんでした。レースは出脚が鈍く外8番手から。勝負処からマくって出て先行グループに取りついたレース運びは、2着のウツミランカスターと大体同じ。それでウツミに後れを取ったのは、この馬の実力からするとやや不満も。やはり中身が伴っていなかったということでしょうか。

8着 ディアーウィッシュ
 南関では千四〜二千まで幅広く使い6勝。ただし、その内の5勝が千六で、とりわけ左回りに高適性。スタートも含めてセンス抜群のレース巧者。斤量的にみても昨年に続いての連覇が濃厚とみていました。この日はマイナス9キロの518キロ。馬体減は絞った分か…。気合を表に出さないのはいつも通り。マズマズの仕上がりとみましたが…。レースはスタート五分に出て先行策。ただし今野騎手は、ひとつ内枠のフサイチピージェイにハナに行かせて、外2番手につける予定だったのでは。それが外からヴァイタルシーズにハナに行かれて、切り替える間もなくシャインウェーヴ、グランシュヴァリエに次々と被され終始馬込みに。序盤からどうもリズムが悪かった。精神的に消耗したのか、勝負処では既に怪しい手応え。直線はサッパリ伸びずに8着と敗れました。敗因は流れに乗れなかったためか、あるいは状態面に問題があったのか…。両方が重なっての凡走とみるべき。

11着 グランシュヴァリエ
 昨年の南部杯では、エスポワールシチーを脅かして、オーロマイスターのレコード駆けの3着。高知所属馬とはいえ、気分良く走れば全国レベルで通用の実力。特に千六前後に高適性。人気がなければ狙ってみたい馬でした。この日は増減なしの491キロ。気合乗り良く暑さ負けの気配なし。レースは出遅れ。気合をつけて4番手に行ったものの、前半に脚を使ったのが響いたのか見せ場なく11着。どうも常識に掛からないタイプです。これが実力でないのは確か。