第62 回 全日本2歳優駿(Jpn1)

【予想】
◎オーブルチェフ
○ゴーイングパワー
▲エーシンユリシーズ
△メジャーアスリート
△アスペクト
△ヴェアリアスムーン
△ヘヴンズパワー

 前走の北海道2歳優駿は、ハイペースの2番手を楽に追走してひと追いで突き抜けたオーブルチェフ。時計も極めて優秀。ダート転向後に3連勝と底を見せておらず、未対戦のメンバーはいても、レベルが違うとみました。このレースに直結する兵庫ジュニアグランプリの優勝馬ゴーイングパワー、3着エーシンユリシーズ、更にはダート2連勝メジャーアスリート以下△勢まで連下は横一線。

【レース】
 オーブルチェフがスタートで躓くアクシデント。好スタートを決めた戸崎ヘヴンズパワーが楽に逃げる構えでしたが、これに異議を唱えたのが蛯名メジャーアスリートで、あわよくば交わしてハナに行く構え。これが2番手に甘んじて隊列が決まり、後続も接近して内3番手にヴェアリアスムーン、その外にゴーイングパワー、更にはゴールドメダルも先行グループ。ペースが落ち着いたところに、一気に動いたのが中舘オーブルチェフ。3、4コーナーで単騎先頭に立ったメジャーアスリートの2番手に上がり、これを交わす勢い。ただし道中かなり脚を使ったのと、メジャーアスリートの執拗な抵抗に遭い、最後の直線は意外にもつれる形。それでも底力を発揮したオーブルチェフが、僅かに競り勝ちました。渋太く粘ったメジャーアスリートが2着。

【上位馬の寸評】
1着 オーブルチェフ
 ダート転向後は圧倒的な強さで3連勝、時計も優秀。テン良し中良し終い良しで、今のところ死角らしい死角は皆無。未対戦のメンバーはいても、ここで負けるとは思えませんでした。この日はプラス3キロの503キロ。馬っぷり上々で活気もあり非常にいい雰囲気。万全の仕上がりを確認。ところがレースはスタートで躓くアクシデント。中舘騎手は慌てずレースを進め、ペースが落ちた向流しで一気に先団に接近。3コーナーでは3番手に上がり、4コーナーでは2番手。ここまで来ればという処ですが、かなり脚を使ったのと、相手の執拗な粘りに手を焼いて、僅かに抜け出した処がゴールでした。苦戦の原因はやはりスタートミス。それを力任せに挽回するあたり、やはりモノが違う。距離は延びても対応できそうで、どこまでこの快進撃が続くか楽しみです。(12月17日 左第3指骨々折が発表されました)

2着 メジャーアスリート
 ダート替わりの未勝利戦で、1600をレコード勝ち(2歳限定)。続いて五百万昇級戦も、1400ダートを1着。これでダートは2戦2勝。今回は統一G競走で更にハードルは上がりましたが、侮れない存在とみていました。この日はプラス9キロの505キロ。気合乗り十分の好馬体で、力強い踏み込み。文句なしの気配。レースは好スタートを決めて逃げる体勢のヘヴンズパワーを、無理無理追いかける形。結局は2番手に控えましたが、リズム的には? 3、4コーナーでようやく単騎先頭に立ちましたが、既に背後にオーブルチェフが接近。最後の直線は正にサバイバル戦。懸命に辛抱していましたが、ゴール前惜しくもオーブルチェフに競り負けました。流れを考えれば高く評価できる走り。マダマダ成長してきそうな馬です。

3着 ヴェアリアスムーン
 これもダートは2戦2勝。前走の勝ちタイム、ダート1200を1分11秒8は、同日古馬一千万が1分11秒0ならマズマズ。脚抜きのいいダートに強いアフリート産駒だけに、川崎コースも向いていそう。折り合いさえスムーズなら有力な一頭とみていました。この日はマイナス3キロの479キロ。それほどのスケールは感じさせませんが、コンパクトにまとまった馬体。うるさい面も見せず好気配でした。レースは岩田騎手が多少気合をつけてイン3番手から。オーブルチェフが動いてペースアップした際も、ポジションを死守。最後の直線も気力を絶やさずジリジリ差を詰め勝ち馬から2馬身圏内の4着。1200→1600でこの走りができれば及第点でしょう。もうひと回り馬体が成長してくれば結構出世しそうです。

4着 ゴールドメダル
 過去2勝は1200でも、追って渋く、案外距離が延びて良さそうなタイプ。ただし前走の北海道2歳優駿は、オーブルチェフから2秒5差の6着。この隔たりはいかにも大きく、印は付け切れませんでした。この日はプラス12キロの514キロ。青毛の馬で黒光りする好馬体。こと馬っぷりではメンバー一番。早目に川崎に入厩して入念な乗り込み。体重増は成長分で全く太目感なし。力関係は微妙でも、案外やれそうな予感。レースは出たなりで外5番手から。結構スピードもあります。4コーナー手前からマクって出て大外へ。最後の直線もジリジリ脚を伸ばして一旦は3番手に上がりましたが、ヴェアリアスムーンに競り負けて4着。先々に大いに見通しが立つ走りを見せました。次はどこに出てきても狙いたい。

5着 アスペクト
 ダートは8戦7勝。唯一の敗戦はJRA挑戦の9着で、地元盛岡のダートでは7戦全勝。ローカル限定との見方もありますが、前走の南部駒賞ではヘヴンズパワーを破り好タイム勝ち。兄アテストが05年の当レースを2着と血統面の裏付けもあり、穴として注目していました。この日はマイナス9キロの481キロ。これは絞り込んで仕上げてきたという感じ。活気があり好仕上がりと判断。レースは好スタートから斉藤騎手が気合をつけて行ったものの、スピード競馬に対応できず追い通しで追走に手一杯。それでも上がりのかかる競馬に乗じて差を詰め5着入線。それなりに見処のある走りでした、距離が延びて良さそうなタイプです。

6着 タイセイスティング
 ソコソコ人気になっていましたが、プラタナス賞では、オーブルチェフから1秒6差の5着。脚質的に川崎コースも?でどうかなとみていました。この日は増減なしの498キロ。特に気配は目立たず。レースは前半5番手に行くなど意外な先行力を発揮しましたが、オーブルチェフが動いてペースアップした際に、対応できず後退。それでいて最後また詰めて6着。あまり器用に動けるタイプではないようです。ベストは直線の長い東京コース。そして距離はもっと欲しい。

11着 ゴーイングパワー
 ラブミーチャン、スーニなど、このレースに直結する兵庫ジュニアグランプリの優勝馬。サクラバクシンオー産駒だけに距離が1600に延びて心配もありますが、レースぶりからは克服可能と判断。重い印を打ちました。この日はマイナス2キロの471キロ。体をフックラ映し活気もあり好気配。レースは距離を意識して和田騎手が大事に大事に外4番手から。スムーズに運べましたが、バックストレッチで一気に動いてきたオーブルチェフに被されると行きっぷりが悪化。さしたる抵抗もなく後れを取り、結局はブービーに沈みました。やはり1600でシビアな流れになると、スプリンター血統の弱さが出てしまうようです。

12着 ヘヴンズパワー
 鎌倉記念では1コーナーで膨れてアウト。ただし、前走の南部駒賞では大逃げを打って惜しい2着。左回りも克服。サウスヴィグラスの仔だけにダッシュ力に秀で、有力処が牽制し合うようだと、残り目ありとみていました。この日はプラス12キロの457キロ。キッチリ追い切りを消化しての馬体増で、これは好材料。レースはメジャーアスリートにビッシリ競り込まれて殿りに敗れましたが、あの流れでは仕方なし。自分のペースで行ければ一変しておかしくない。