第14 回 ジャパンダートダービー(Jpn1)

【予想】
◎オースミイチバン
○ハタノヴァンクール
▲ストローハット
△フリートストリート
△ホッコータルマエ
△アートサハラ
△トリップ

 ユニコーンSはダッシュが利かず後手後手に回ってしまったオースミイチバン。長く脚を使って2着したレース内容は勝ったストローハット以上。距離二千は歓迎で、一歩リードとみました。ダートでは4戦4勝と底を見せていないハタノヴァンクール、前述ストローハット以下JRA勢は実に多彩なメンバー。

【レース】
 典型的な逃げ馬は不在。馬なりでフリートストリートがハナに行き、2番手トリップ、3番手にオースミイチバン。内4番手にホッコータルマエが控え、その外にストローハット。スタートが悪かったハタノヴァンクールも向流しでは6番手に取り付き、JRA勢が前を固める形。ペースはスロー。そこに注文をつけたのが今野アートサハラ。残り800から一気に動いて、3コーナーで先頭に立ったトリップの2番手まで進出。ハタノヴァンクール、オースミイチバンも追撃態勢。最後の直線、さすがにアートサハラの勢いも鈍りトリップのが粘り込むかに見えましたが、抜群の切れ味を発揮したのがハタノヴァンクール。残り50でトリップを交わし、力強くゴールを駆け抜けました。

【各馬の寸評】
1着 ハタノヴァンクール
 ダートは4戦4勝。過去当レースに実績を残している端午Sの勝ち馬。間隔があいた点がどうかですが、当然注目の1頭でした。この日はプラス9キロの493キロ。スッキリ仕上がった体つきで、もう少し増えてもいい感じ。キビキビ感があり、好仕上がり判断。レースは出脚が鈍く、序盤はJRA勢の中では一番後ろの6番手から。途中で後方のアートサハラが奇襲攻撃に出ましたが、四位騎手が落ち着いて対処して、ワンテンポ遅らせてスパート。4コーナーでは3番手に進出。力強さと切れ味を兼備した末脚で見事に差し切りました。時計の2分5秒3は想定より1秒ほどかかりましたが、時計以上に中身の濃い勝ちっぷり。『カイバ喰いが以前よりもシッカリしてきた』との厩舎のコメントがあり、今後は更にパワーアップしてきそう。大物感があるし、芝がダメとも決めつけられません。

2着 トリップ
 芝で2連勝して、日本ダービーでは0秒5差の7着。問題はダートが初めてという点ですが、母が南関東で大活躍したビーポジティブで、父クロフネ。血統面からはむしろダート替わりが後押ししてもいいほど。レースぶりが注目されました。この日はプラス1キロの495キロ。見た目にダート馬という感じはしませんが、活気を呈して好仕上がり。レースは小牧騎手が気合をつけて2番手から。これは大体想定されたポジション。3コーナーで逃げるフリートストリートを交わして先頭。最後の直線は食い下がるアートサハラを振り切ってアワヤ勝利かと思わせましたが、惜しくもハタノヴァンクールの末脚に屈しました。現時点ではそれほどの底力は感じさせませんが、レース巧者という印象。芝ダート兼用タイプか。

3着 アートサハラ
 この馬のJRA勢に臆せぬ走りが、レースを盛り上げました。ただし、正直印は(東京ダービーで◎を打った手前)△止まり。東京ダービーの決着時計からは、地方勢のレベル?で、強力なJRA勢に一矢報いるのは相当難しいかなとみていました。この日はプラス4キロの534キロ。出走馬中の最高体重もありますが、馬っぷりという点ではメンバー屈指。レースは出たなりで外7番手から。ペースが遅いのを見計らって、残り800から今野騎手が一気にスパート。残り600では2番手に上がり、前を行くトリップを追って直線へ。ここまでに脚を使ったのと、上がりが速い競馬になり最後は突き放されましたが、3着に粘って地方代表の意地を見せました。『掛かる面を抑制するためにダービーではメンコを着けたところ、行きっぷり今イチ。そこで今回はメンコを外す』というのが正解だったのでしょう。やはり地方のナンバーはこの馬。秋シーズン以降が楽しみです。

4着 オースミイチバン
 2連勝の余勢を駆って兵庫チャンピオンシップ1着。ユニコーンSを2着。特にユニコーンSは出遅れを挽回してのもので、ダートでは世代最強レベルをアピール。レースぶりから距離のニ千も問題はないので、最有力とみました。この日はプラス2キロの504キロ。気合乗り十分の好馬体で仕上がりは万全。レースは出たなりで外3番手から。兵庫の時と同じで、ペース的にもほぼ理想のポジション。ただし、4コーナーで外から並んできたハタノヴァンクールとは手応えの差が歴然。直線は内に潜り込んで懸命に追ってきましたが、正味目イチの4着。特に不利もなく、完全に力負けという競馬でした。

5着 ホッコータルマエ
 端午Sではハタノヴァンクールと同タイムの3着。前走は古馬一千万条件を1着。やや地味な印象はありますが、ノーマークにはできない存在でした。この日はプラス9キロの497キロ。少しテンションが上がり気味で、意外にスマートな体型。毛ヅヤは上々。力を出せる仕上がりと判断。レースは出たなりで内4番手から。淡々と進みましたが、アートサハラがスパートしてペースが上がった際に、対応し切れずやや置かれ気味。最後の直線は苦し紛れに内に突っ込みましたが、流れ込んだ程度の5着。スローペースのインにいたのが災いしたか…。

6着 プレティオラス
 今時珍しい殿り強襲の典型的な追い込みタイプ。東京ダービーは物の見事に決めましたが、時計の2分6秒8は平凡。2分4秒台の決着が予想される今回は、正直厳しいとみていました。この日はプラス1キロの455キロ。相変わらずフックラとしたいい感じの仕上がりで、適度な気合乗り。レースは外9番手から。ペースが遅かった分、そう極端には置かれなかったものの、この上がりの速い競馬には対応できず、自身の脚は使っての6着。完全にスピード負けでしょう。

7着 ストローハット
 ダート路線に転向して2連勝。ユニコーンSの勝ち馬だけに当然問題になる馬ですが、ユニコーンSは福永騎手が巧みに捌いたという競馬で、内容的には2着オースミイチバンの方が上。少し乗り難しそうな馬で、内田博騎手とはいえ、テン乗りに不安もありました。この日はマイナス4キロの468キロ。コンパクトにまとまった体つきで、いかにも瞬発力がありそう。適度に発汗もあり好気配。レースは出たなりで5番手からの競馬。ポジションを守り、最後の直線も勝負圏内にはいましたが、数頭雁行の中でやや窮屈な形。持ち前の決め手が不発に終わりました。脚は残っておらず、不利がなかったとしてもどうだったか…。それとこの馬は中途半端に行くよりも、ジックリ構えて一瞬の脚を生かした方が良さそうです。

9着 フリートストリート
 すべてダートで3戦全勝。休み明けでG1はハードルが高いのは事実ですが、レースぶりに注目していました。この日はプラス8キロの494キロ。太目感はなく適度な気合乗り。仕上がりは伴っている様子。レースは馬なりでハナに行き単騎マイペースに持ち込みましたが、3コーナーでトリップとアートサハラに交わされて3番手に後退。盛り返す余力は残っておらず9着と敗退。このメンバーで目標にされる形では厳しかった。今回に関しては基準外とみるべきでしょう。