第12回 JBCクラシック(Jpn1)

【予想】
◎シビルウォー
○テスタマッタ
▲トランセンド
△ソリタリーキング
△ワンダーアキュート
△アートサハラ

 G1レベルではチョイ足りずの評価が定着していたシビルウォーが、ここ2戦はレコードVも含めてスピード競馬に対応と7歳にして本格化。実力馬トランセンドに長期休養明けのハンデがあるだけに、分のいい一戦とみました。テスタマッタが本線で、当然ながらJRA上位。

【レース】
 前走の日本テレビ盃は2番手からの競馬になった的場文マグニフィカですが、今回は捨て身の逃げ作戦。大外から藤田騎手が追って追ってトランセンドが2番手。テスタマッタは折り合いを欠いて3番手。岩田騎手がなだめるのに必死。和田竜ワンダーアキュート、浜中ソリタリーキングと人気のJRA勢が先行グループを形成ですが、内田博シビルウォーは最後方に近いポジション。向流しの中間地点を過ぎるあたりで早くもトランセンドが先頭。シビルウォーも後方から一気に動いて3コーナーではソリタリーキングと併せ馬の形でトランセンドに並びかける勢い。ここでジックリ脚を溜めていたワンダーアキュートが、直線に向くと一気にスパート。シビルウォー以下を並ぶ間もなく抜き去って、久々の勝利を収めました。

【各馬の寸評】
1着 ワンダーアキュート
 昨年はジャパンCダートでトランセンドの2着。東京大賞典ではスマートファルコンと壮絶なデッドヒートの末に微差2着と、ダート最強クラスの評価は不動のものに。ただし、今年に入っての3戦が3、4、10着。特に前走の東海Sが不可解な敗戦。以降約半年ぶりの実戦。実力は認めても△までしか付けられませんでした。この日はマイナス21キロの501キロ。昨年の大賞典が508キロだけに、これは絞れた分と判断。懸念されたイレ込みもさほどではなく、好気配でした。レースは好スタートから和田竜騎手が多少気合をつけて内3番手。折り合いスムーズに流れに乗り、向流しでレースが動いた際もジックリ構えてマイペースを堅持。ジックリ溜めた脚を最後の直線で全開。シビルウォー以下を並ぶ間もなく交わして5馬身も突き抜ける圧勝でした。ロスなく運べたにせよ、さすがという勝ちっぷり。全く衰えはありません。

2着 シビルウォー
 長距離戦でロングスパートが利くのがこの馬のセールスポイント。速い時計の勝負には疑問符が付くというのが従来の評価ですが、それを覆すレコード勝ちのマーキュリーC。そしてスマートファルコンのレコードに0秒5差のブリーダーズGC1着。7歳のこの時期を迎えて遅まきながら本格化。今回も内田博騎手だけに、最有力とみました。この日はプラス3キロの469キロ。フックラとした体つきに適度な気合乗り。毛ヅヤも上々で好仕上がり。レースはスタートは五分に出たものの、まるで行き脚がつかずに序盤は殿りに近いポジション。向流しの中間地点を過ぎるあたりから一気にスパート。3コーナーでは早くもトランセンドに並びかける勢い。最後の直線ではトランセンドを競り落として一旦は先頭に立ちましたが、脚を溜めていたワンダーアキュートに屈して離された2着。得意のロングスパートも及びませんでした。やはり序盤に置かれ過ぎたのが敗因。もう少し流れに乗れていればここまでは離されなかったはず。次走での反撃に期待。

3着 トランセンド
 ドバイワールドC以来、約7ヶ月ぶり、世界のトランセンドの復帰戦。この日は513キロ。数字的にはほぼこの馬の理想体重。見た目に太目感なく毛ヅヤもいい。歩様もいつもほどの硬さは見られず。入念に乗り込みを消化して仕上げてきたという印象。これなら逃げ切りも十分にあるとみました。レースは好スタートを決めた的場文マグニフィカが意外に頑固にハナを主張。こちらは追って追って2番手から。普段はペースダウンする1周ホームストレッチでは、マグニフィカに並びかけてペースを落とさせず、力勝負に持ち込む構え。向流しの中間あたりでは、早くも息が上がったマグニフィカを交わして先頭。3コーナー過ぎにはマクって来たシビルウォー、そしてソリタリーキングに並ばれるシビアな展開。さすがに最後の直線は脚が止まりましたが、3着に粘ったのはこの馬の底力。流れ如何ではもっと際どい競馬になっていたでしょう。ワンダーアキュートとともに、実力馬の復活でダート交流路線も面白くなってきました。

4着 ソリタリーキング
 ヴァーミリアン、サカラートを兄に持つ良血馬。年齢を重ねて本領を発揮し出した兄2頭に倣うように、5歳を迎えて本格化。ダートの重賞レースを2連勝中。当然注目すべき存在ですが、前走の日本テレビ盃はマグニフィカが3着に粘った競馬で、時計的にも平凡。正直このエース級のメンバーに入ってはどうかなという感じ。あまり過剰に人気になるようなら、馬券的には嫌いたい気もしました。この日はマイナス1キロの465キロ。コンパクトにまとまった好馬体。兄ほどの威圧感はありませんが、好仕上がりと判断。レースは浜中騎手が気合をつけて5番手からの競馬。向流しではシビルウォーのスパートに合わせるように進出。3コーナーではトランセンド、シビルウォーと3頭併走の間に入り激しい競り合い。さすがに相手強力で競り負ける格好、手応え劣勢。4着は正味目イチの競馬で力負けでしょう、ただし、間違いなく今後の糧になる競馬。

5着 テスタマッタ
 交流重賞の常連。その実力のほどは言うまでもありませんが、少し乗り難しい面があり、折り合いを欠くケースも。基本的には千六くらいで差しに構えて瞬発力を生かすタイプ。○は打ちましたが、楽観はしていませんでした。この日はマイナス10キロの498キロ。体つきからは絞れた分と判断。落ち着きもあり好気配。レースは意識的にヤンワリ出ましたが、抑えが利かずなだめるのにひと苦労。1周スタンド前では頭を上げつつ3番手。途中から内に入って前に壁を作る形。それでも終始リズムの悪い走り。4コーナーでは5番手。ここまでに精神面でも体力面でも消耗し切っており、とても末脚を繰り出せる状況にはありませんでした。今回は全く基準外ですが、やはりこの馬は千六くらいが合う。