第63回 全日本2歳優駿(Jpn1)

【予想】
◎アルムダプタ
○アウトジェネラル
▲アップトゥデイト
△インサイドザパーク
△サマリーズ
△ジェネラルグラント
△ドコフクカゼ

 混戦をイン強襲で突き抜けた北海道2歳優駿が鮮やかだったアルムダプタ。僅か2戦目であの走りは非凡な素質の証。小回り川崎コースの克服が課題でも、スケールが一枚上とみて◎。その北海道2歳優駿ではかなり外を回るロスが響いたアウトジェネラル。今回から川島正行厩舎に移籍。仕上がり上々で相手筆頭。兵庫ジュニアグランプリ2着のアップトゥデイト、重賞2勝のインサイドザパークなど多彩なメンバー。

【レース】
 好スタートを決めたサマリーズが馬なりでハナへ。2コーナーを回ってペースダウンすると一気に馬群が凝縮。その中でもアップトゥデイトが一気に進出して先頭に並びかける勢い。引き付けたところで再びスパートしたサマリーズが、後続を離して直線へ。勝負処からはカラ馬に終始絡まれながら、他馬に付け入る隙を与えず鮮やかな逃げ切勝ちを収めました。差しに構えたジェネラルグラントが2着争いを制し、1番人気のアップトゥデイトは3着。

【各馬の寸評】
1着 サマリーズ
 ダート替わりで2連勝。競り合いの末に差し返した前走は、3着に5馬身差だから、時計以上の高価値。流れが速くなれば浮上可能とみていました。この日はマイナス1キロの483キロ。この時季の牝馬だけに毛ヅヤはひと息ですが、馬体をフックラ映し落ち着きもありマズマズ。レースは好スタートから馬なりでハナ。芝の新馬戦では逃げているとはいえ、これは正直予想外。最初のコーナーで息を入れ、向流しでアルムダプタ以下が殺到してくると、再びペースを上げて後続馬を翻弄。カラ馬に絡まれつつも4コーナーではほぼセイフティリード。全く危なげない逃げ切り勝ちを収めました。翌日の古馬A2下、好調ヴォルテックスの勝ちタイムが同じ1分41秒9なら、時計も及第点。逃げ差し自在の機動力。楽しみな牝馬が出てきました。

2着 ジェネラルグラント
 千二新馬1着→千七オープン1着→JRA芝千五2着の経緯は大注目。前走の北海道2歳優駿は5着に終わりましたが、大外枠から馬なりでハナに行ったスピード非凡。今回は船橋への移籍緒戦ですが、稽古は動いているし、同型不在で逃げ有力なら穴に狙う手は十分にあるとみていました。この日はマイナス11キロの521キロ。気合乗り十分の好馬体で、この体重減は絞れた分と判断。レースは出たなりで馬を内に寄せて折り合いに専念。ペースの緩急の変化に戸惑いつつもイン3番手を死守。勝負処からはマクって出て直線は外へ。切れ味はひと息でもジリジリ脚を伸ばし、アップトゥデイトを交わし2着に食い込みました。新機軸を打ち出してきたとあれば、移籍を契機にまたひと皮剥けそうな予感。次が楽しみです。

3着 アップトゥデイト
 兵庫ジュニアグランプリは道中追い通しで進み、最後の直線では内を突いて2着死守。勝ったケイアイレオーネには完全にスピード負け。もう少し軽快感が欲しいところですが、今回はそのケイアイが回避したし、岩田騎乗なら要注目の一頭でした。この日はプラス3キロの505キロ。均整の取れた体つきでキビキビ感もあり好気配。レースは序盤6番手から、向流しに入ると一気に進出して先頭に並びかける勢い。これは力技で決めようという鞍上の目論見でしょう。ただしガッチリと受け止められて3番手まで。4コーナーではキタサンオーゴンを交わして離れた2番手に上がりましたが、最後はジェネラルグラントに差されて3着に終わりました。距離が延びていいタイプですが、やや切れ味不足。時計のかかるダート向き。

4着 アウトジェネラル
 道営5戦はオール1番人気。スケールの大きな走りに、ファンの支持率が非常に高い馬。北海道2歳優駿は終始外々を回るロスがあり、勝負付けが済んだとみるのは早計。小回り川崎コースは微妙でも、魅力ある存在でした。この日はマイナス6キロの506キロ。懸念した太目残りはなく馬っぷり上々、適度な気合乗り。レースはスタートひと息でほぼ最後方から。これはちょっと誤算。思うようにポジションを上げられず、正味直線勝負。外から詰めて2着争いには加わり、一応の格好はつけました。やや器用さに欠ける感じで、コースが替われば地力を発揮するかも。

5着 インサイドザパーク
 過去二度の敗戦は、スムーズさを欠き取りこぼしに近い2着。小柄ながら全身これバネといった弾力感のある体つき。南関の既成勢力では文句なくナンバー1。新規転入馬、及び強力なJRA勢が相手でも、ある程度の競馬はしてくれるとみていました。この日はプラス9キロの446キロ。馬体増は文句なく好材料。適度な気合乗りで仕上がりは万全と判断。レースはスタートダッシュが鈍く中団8番手から。終始馬込みに入り行きっぷり今イチ。これまでもこういうケースは多々ありましたが、さすがにこのレベルの争いでは挽回が利かず、何とか2着争いに加わる形の5着止まり。マズマズ健闘の部類でしょうか。間違いなく距離が延びていいタイプで、来年のクラシックレースでは当然有力候補の一頭に。

8着 アルムダプタ
 北海道2歳優駿は、馬込みに入りながらイン強襲で突き抜け。僅か2戦目であの走りは特筆モノ。稽古よりも実戦駆けも若駒離れ。昨年はオーブルチェフが北海道2歳優駿→全日本2歳優駿を連勝。この馬にも同様の期待をかけました。この日はプラス2キロの494キロ。体つきにそれほどインパクトはありませんが、キリッと仕上がり好調キープと判断。レースはスタートひと息。幸騎手が右ステッキ連打で中団7番手から。道中内に潜り込んで最後の直線はインを狙いましたが、今回は弾けず8着に終わりました。まだレースぶりが荒削りというか未完成。本気で走っていないような感じもします。もう少し長い目で見たい。

11着 ドコフクカゼ
 ゲート練習が奏功。前走のもちの木賞は、好スタートから逃げ切り2歳コースレコード。内外からの猛追を凌いだ走りに見処。この血統らしい荒削りな面はあるものの、相性のいい竹之下騎手で再度の大駆けも十分にあるとみていました。この日はマイナス10キロの492キロ。この馬体減は輸送減りか。キッチリ仕上げてきたという体つき。レースは竹之下騎手が気合をつけて行ったものの5番手、それも馬込みに入り、かなり気を使って走っている様子。ポジションを下げて最後の直線は内目を突きましたが、全く伸びる気配はありませんでした。常識に掛からないタイプです。