第58回 東京大賞典(G1)

【予想】
◎ワンダーアキュート
○ローマンレジェンド
▲エスポワールシチー
△トランセンド
△ハタノヴァンクール
△フリオーソ

 スマートファルコンとのデッドヒートから早1年。順調なステップを踏んで駒を進めてきたワンダーアキュートの勝機とみましたが、当然強敵はローマンレジェンド。ここで世代交代を確定させる可能性も十分。ほぼ2頭の争いで、割って入ればエスポワールシチー、ハタノヴァンクール。

【レース】
 逃げ候補の一頭エスポワールシチーが躓くアクシデント。戸崎騎手が気合をつけてフリオーソがハナを主張。モエレビクトリー、ナムラタイタンと続いて内4番手にハタノヴァンクール。直後にローマンレジェンド、ワンダーアキュートなど有力処がひしめき合い、トランセンド、エスポワールシチーは後手に回る形。ペースはスロー。ひと足先に動いたローマンレジェンドが4コーナー2番手、残り300で先頭。これをマークのワンダーアキュートが残り200で一旦先頭に立つ勢いでしたが、譲らぬローマンレジェンド。その間隙を突いて内から迫るハタノヴァンクール。3頭の激しいデッドヒートになりましたが、底力を発揮したローマンレジェンドが見事に競り勝ちました。

【各馬の寸評】
1着 ローマンレジェンド
 ダート路線に切り替えて連戦連勝。いよいよこの馬の時代到来かと思われた矢先にブレーキが掛かったJCダート。これをどう判断するかがポイントですが、テン乗りが微妙に響いたためと割切れば、見直しは当然でした。この日はマイナス13キロの497キロ。デビュー以来の最低体重ですが、細目感はなくキッチリ仕上げてきた感じ。活気があり好仕上がりと判断しました。レースは岩田騎手が気合をつけて外5番手から。ペースを読んで意識は先へ先へ。早マクりを打って4コーナーでは2番手。残り300でフリオーソを交わして先頭。すぐ背後に迫るワンダーアキュートに一旦は交わされそうになりながら、ここから底力を発揮。差し返す形で競り勝ち、JCダートの屈辱を晴らしました。時計的には平凡極まりありませんが、競り合いを凌いだ点に価値。いよいよ本格的にローマンレジェンド時代の到来か。

2着 ハタノヴァンクール
 3歳ダート路線の王道を歩みジャパンDD優勝。出脚ひと息ながら力づくで押し切ったレース内容は、時計以上に中身の濃い走り。休養明けの対古馬2戦は時計の速い競馬に対応できていませんが、今の時計のかかるTCKの馬場で鞍上内田博なら、力技が炸裂する可能性は十分にあるとみていました。この日はマイナス5キロの497キロ。休み明けを二度叩いてキッチリ絞り込んだ感じ。適度な気合乗りで好気配。レースは出脚ひと息。ただし意外にペースが上がらなかったので、無理なく内4番手へ。この好ポジションを手放さず、最後の直線もインに潜り込む形。前2頭のデッドヒートにジリジリ詰め寄り、ワンダーアキュートを頭差交わして2着に食い込みました。追走が楽なペースで、全体時計も要するなど、恵まれた面は否めませんが、さすがに力勝負に強い。距離は延びれば延びるほどいいタイプ。

3着 ワンダーアキュート
 スマートファルコンと壮絶なデッドヒートを演じた昨年の大賞典。年明け3戦は不本意な競馬に終わりましたが、休養明けで人気を落としたJBCを1秒差の楽勝。JCダートは若干太目が響いての2着。絞れて510キロ前後で出てくれば、最も計算できると判断して◎を打ちました。この日はマイナス6キロの516キロ。懸念したイレ込みはなく馬っぷり上々。昨年の大賞典当時よりもむしろ良く見えました。レースは出たなりで6番手から。終始ローマンレジェンドをマークする形。勝負処からマクって出て直線は外へ。残り200では一旦先頭に立つ勢いでしたが、ローマンレジェンドの執拗な抵抗に遭い最後は根負け。力尽きた処にハタノヴァンクールにも交わされて3着に終わりました。ダイオライト記念4着もそうですが、こういったサバイバル戦は? スマートファルコンが引っ張るような緩みない流れが合うのかも。当然反撃の余地は残されています。

4着 ナムラタイタン
 一貫した千四路線でデビューから6連勝。以降は徐々に距離を延ばして千六でも3勝ゲットと、耐久力アップは間違いなし。ただし初千八のJCダートは、出遅れが響いたにせよ7着と敗退。今の力の要るTCKの馬場で二千は疑問が残りました。この日はマイナス3キロの521キロ。少し太目に映るくらいのコロンとした体つきでモッサリ型。サウスヴィグラス産駒の典型的なパターン。レースは今回は太宰騎手が気合をつけて外3番手から。折り合いはスムーズ。3コーナーでは2番手に上がり積極的に前を追いましたが、最後の直線は力尽きて離された4着。やはりこの距離は長い。千六までなら重賞レベルの実力。

5着 エスポワールシチー
 G1を5連勝当時の圧倒的な強さは感じませんが、それでも今年かしわ記念、南部杯を優勝と、当代屈指のマイラーの評価は揺るぎなし。前走のJCダートは気分良く飛ばし過ぎたのが敗因。2年連続帝王賞2着と、折り合い次第では二千もこなせるので、要は自分との戦いでした。この日はマイナス5キロの501キロ。ここ一連と同様の気配で落ち着きもあり順調そのもの。レースは鼻ヅラをつくほど大きく躓くアクシデント。これでは松岡騎手も腹を括って後方からの競馬。僅かに差を詰めた程度で離された5着に終わりました。今回に関しては全くの基準外。来年は明けて8歳になりますが、得意の千六ならマダマダやれる。

6着 フリオーソ
 加齢とともに順調さを欠くようになり、これが今年4戦目。出てくれば第一人者のプライドを賭けて無様な競馬はしないのが通例ですが、さすがに勝ち負けまではどうかなというのが正直なところでした。この日はプラス2キロの509キロ。相変わらず馬っぷりは抜群で、外見的には全盛期と全く遜色なし。あとは中身の問題。レースは好スタートから戸崎騎手がハナを主張。若干他陣営の遠慮もあったのかスローの単騎逃げ。そのおかげで最後の直線に向くまでリードを保っていましたが、往年の粘りは見られず目イチの6着。完全に燃焼し尽くしました、あとは種牡馬での活躍を期待。

7着 トランセンド
 世界のトランセンドも今年は7、13、3、16着。テンの行き脚が今イチで、無理無理先行して甘くなるパターン。先手を取り切れば変わる可能性もありますが、大差殿り負けからの豹変まではどうかなとみていました。この日はマイナス7キロの515キロ。これは絞った分か。それほど気合を表に出すタイプではありません。レースは今回も出脚が鈍く後方8番手から。一応マクって出る気配を見せましたが、最後の直線はまるで伸びず7着。これでは前途は険しいと言わざるをえません。