第25回 かしわ記念(Jpn1)

【予想】
◎ホッコータルマエ
〇テスタマッタ
▲エスポワールシチー
△ローマンレジェンド
△セイクリムズン

 各世代の異なるタイプの超一流馬が顔を揃えた注目の一戦。その中でも勢い一番の4歳馬ホッコータルマエに期待。折り合えばテスタマッタの末脚が脅威。距離適性では、当レース4勝目を狙うエスポワールシチー。距離微妙も底力という点ではローマンレジェンド。セイクリムズンは序盤をどう乗り切って上がりの競馬に持ち込むかがカギ。いずれにせよJRA勢の争い。

【レース】
 一旦は真島ピエールタイガーが行く構えを見せたものの、内から浜中エスポワールシチーがハナを主張。幸ホッコータルマエは外4番手。スタートひと息のローマンレジェンドは、岩田騎手が追って追って向流しで5番手に進出。その直後のインに戸崎テスタマッタ。内田博セイクリムズンはスタートミスが響いて後手後手に回り苦しい競馬。ペースは平均。勝負処からいち早くスパートを開始したエスポワールシチー。これを追うホッコータルマエ。この2頭が後続を離して直線へ。残り100でエスポワールシチーを交わしたホッコータルマエが、危なげなく1着ゴール。現在の充実ぶりをアピールしました。

【各馬の寸評】
1着 ホッコータルマエ
 当初はこの世代の中では比較的地味な存在でしたが、昨年後半からの躍進著しく重賞レース3連勝中。特にJCダート1着のニホンピロアワーズに競り勝った前走のアンタレスSが優秀。ダート界の頂点も視野に入っており、ここはその勢いに素直に乗りました。この日はマイナス9キロの489キロ。以前に大井のジャパンDDを使った際はイレ込んで発汗が目立つ状態。それだけに気になる数字でしたが、それは杞憂に終わり、落ち着きがあり好気配。馬体も細目感なし。レースはスタートを決めて外4番手から。終始逃げるエスポワールシチーを射程圏内。3コーナーで2番手に上がり、ペースアップして引き離さんとするエスポワールシチーを追走。最後の直線もジリジリ差を詰め、ゴール前100でこれを交わすと、危なげなくゴールを駆け抜けました。幸騎手の会心の騎乗で並み居る古豪を撃破。今後もダート路線の王道を歩み、主役級の活躍を期待。これであと10〜20キロくらい体が増えれば理想。

2着 エスポワールシチー
 既に功成り名遂げた名馬ですが、2月のフェブラリーSを2着と、天下無敵のマイラーは依然健在。断トツの距離適性を発揮すれば、前人未到の同一G14勝の偉業達成も十分とみていました。この日はプラス7キロの511キロ。昨年のかしわ記念の495キロに比べるとかなり増えていますが、別段太目感はなし。淡々とパドックを周回する姿は、いい意味で枯れた感じ。力を出せる仕上がりとみました。レースはダッシュを利かせて内に寄せてきたピエールタイガーを振り払うようにして浜中騎手がハナを主張。単騎逃げに持ち込み、この馬には程良い平均ペース。残り600からハロン11秒台にピッチを上げて後続を突き放す構え。ただし食い下がってきたのがホッコータルマエ。最後の直線、残り100で遂に交わされましたが、2着に粘って古豪の意地を見せました。ただし、流れを考えると、本来のエスポワールシチーなら、最後の1ハロンを12秒台でまとめて1分37秒前半では駆けられたはず。若干重かったのか、やはり衰えもあるのか…。

3着 ローマンレジェンド
 JCダートで一敗地にまみれたものの、それを除けば連戦連勝で、ダート界の頂点も視野に入る実力派。地方初参戦の東京大賞典も、この馬本来の勝負強い走りを見せて勝利をゲット。力関係からすれば当然◎でもおかしくありませんが、問題は休み明けの千六という点。基本的にはもう少し長目の距離が合っている馬。1分36秒台の高速決着になった際に果たして対応できるかどうか、少々疑念も残りました。この日はプラス4キロの501キロ。意外にスッキリした体つき。500キロからある男馬ですが、仕上がり早のタイプのようです。少しうるさいくらいに活気もあり好気配。レースはスタートひと息。岩田騎手が気合をつけて前を追い、向流しでは外5番手まで進出。ただし勝負処でエスポワールシチーがペースアップした際には、追走に手こずり置かれ加減。最後の直線は懸命に脚を伸ばしてきましたが、3着に終わりました。距離不足、出負け、先行馬ペースなどを考えれば、負けたとはいえ地力を見せた競馬。千八以上の路線ならダートでは当代屈指の実力は間違いなし。

4着 テスタマッタ
 これまで長目の距離でもハイレベルの走りを見せていますが、基本的には千六くらいで差しに構えて最大限に能力を発揮。昨年の当レースは最初のコーナーで致命的な不利があり3着と不完全燃焼。今回は頭数的にも競馬がしやすそうなのと、意外に人気が低いので、馬券的な妙味はこの馬とみていました。この日は増減なしの504キロ。相変わらず馬っぷりは冴えているし、若干テンションが上がり気味なのはいつも通り。年齢的な衰えは感じさせません。レースはテン乗りの戸崎騎手がヤンワリ出て折り合いに専念。今回も多少難しい面を見せましたが、それでも一応流れに乗って内6番手から。4コーナー手前からマクって出て直線の入口では4番手。ローマンレジェンドと一緒に差を詰めてきましたが、4着に終わりました。正味目イチの競馬ですが、先行馬ペースで展開負けと言えなくもありません。千四〜千六で乱ペースになった際は、怒涛の強襲がある。

5着 セイクリムズン
 短距離の名馬が、フェブラリーSに続いてマイルに挑戦。正直このメンバーの力勝負ではどうかと思いましたが、前半騙し騙し乗って、正味千二、千四の競馬に持ち込めばソコソコ食い込む可能性もあるかなとみていました。この日はマイナス3キロの513キロ。黒光りする好馬体は健在で、悠然とパドックを周回する姿は風格が漂います。レースはスタートで躓いたのが大誤算。7番手からの競馬になり、向流しでは仕掛けてポジションを上げる形。結局はJRA勢の中では一番後れを取り、離された5着に終わりました。フェブラリーSは内々の経済コースで極力脚を溜めて際どい4着に頑張りましたが、自ら動いて行く形だと千六では厳しい。