第38回 帝王賞(Jpn1)

【予想】
◎ホッコータルマエ
〇ワンダーアキュート
▲ハッピースプリント
△クリソライト
△クリノスターオー
△ニホンピロアワーズ

 今年はドバイ遠征のダメージが少なく、短期間で復帰を果たしたホッコータルマエ。仕上がり万全なら、勝負付けの済んだメンバーで破綻はないとみました。衰え見せぬ9歳ワンダーアキュートが相手筆頭ですが、ハッピースプリントにもチャンスあり。

【レース】
 岩田クリノスターオーがハナを主張。一旦は2番手の酒井学ニホンピロアワーズを交わして武豊クリソライトが2番手へ。和田竜ワンダーアキュートも先行策。この4頭を見るように幸ホッコータルマエが絶好の5番手。離れた6番手に宮崎ハッピースプリント。かなりのハイペースで以下は離れた後方。3コーナーでクリソライトが先頭。2番手に早くもホッコータルマエ。ハッピースプリントも接近。最後の直線、残り200でホッコータルマエが先頭。食い下がるクリソライトを振り切って王者の貫録を示しました。

【各馬の寸評】
1着 ホッコータルマエ
 珍しく序盤の捌きにロスが多く苦戦を強いられた川崎記念。ただし、あれで勝ち切るあたりがこの馬の底力。ドバイでは昨年以上の結果を残せたし、その疲れも癒えて順調な仕上がりなら譲れない一戦とみました。この日は川崎記念からマイナス5キロの502キロ。少しうるさいくらいに活気を呈し、毛ヅヤもいい。馬体の造りも一連と同等で万全の仕上げ。レースは好スタートから幸騎手が馬を外に持ち出しつつ、他に行く馬がいなければハナにも行く構え。結局落ち着いたのは外5番手。ペースを考えれば絶好のポジション。3コーナーで早くも2番手に進出。敵は前を行くクリソライトのみ。最後の直線、残り200で先頭。クリソライトの執拗な頑張りに少々手を焼きましたが、競り勝って王者の貫録を示しました。全盛期のヴァーミリアンやスマートファルコンほどの絶対感はありませんが、やはり現在のダート界では1頭抜きん出た存在です。

2着 クリソライト
 昨年のJBCではワンダーアキュート、ホッコータルマエに先着の2着。以降2戦は極端にモマれる競馬や馬体減が敗因。ダイオライト記念1着、かしわ記念4着の走りからも長目の距離に適性が高いのは間違いなし。ジャパンDDを圧勝と大井コースもOKなら、当然注目の一頭でした。この日はプラス1キロの493キロ。パドックの外目を活気十分に周回する姿は目立っていい。これまでで一番。レースは武豊騎手が気合をつけて逃げるクリノスターオーにジカ付け。道中はやや掛かり気味。35秒2〜47秒8〜59秒9は、スマートファルコンに匹敵するペース。手応え良く3コーナー先頭に立ち直線へ。残り200で交わされましたが、そこから踏ん張って差し返すシーンを見せたのは、ペースを考えると驚異的な頑張り。改めてポテンシャルの高さを証明。二千以上の距離なら打倒ホッコータルマエも十分にある。

3着 ハッピースプリント
 ハナ差で3冠制覇の夢破れて1年。この間未勝利ですが、目標を高いレベルに設定して東京大賞典4着、川崎記念4着。フェブラリーSも着順ほど負けていないし、かしわ記念は四角膨れるロスがありながら3着。人馬ともに手慣れた右回りに替わり、大金星の可能性もあるとみていました。この日はマイナス1キロの524キロ。ここに入ると特に馬っぷりは目立ちませんが、適度な気合乗りで高いレベルで安定。レースはスタートひと息。宮崎騎手が気合をつけて6番手へ。先行5頭からは離れたポジションですが、ペースを考えると悪くない。勝負処から接近して4コーナー3番手併走の際には、ヒョッとするとの期待感。ただし、残り200からは前2頭と同じ脚になり、流れ込んだ3着。惜しかったと言えば惜しかったし、ハマった競馬だけにもうひと伸びあっても…という感じも。あるいは二千は微妙に長いのか…。結論は持ち越し。

4着 ユーロビート
 長距離重賞を狙って移籍の陣営の思惑通りに東京記念をゲット。休み明けのオグリキャップ記念は不甲斐ない結果でしたが、大井記念2着と即反撃。これが南関同士なら文句なく重い印が付きますが、このレベルの争いでは時計不足が致命傷とみました。この日は増減なしの548キロ。少し太目に映るくらいですが、気合が乗って悪くない。レースは出たなりで離れた7番手から。速い流れを深追いせずにマイペースを堅持。終いバテた馬を交わして4着は展開に乗じたとも言えますが、前走の時計を1秒8も短縮は評価できます。南関同士で二千以上の距離なら主役を張れる。

5着 ニホンピロアワーズ
 JRAでは千八のスペシャリスト、地方競馬では中長距離路線で一時代を築いた実力馬。ただし最近は自分の形に持ち込んでも甘さを露呈と、年齢を感じさせるレースぶり。順番で△は打ちましたが、正直馬券は買う気がしませんでした。この日はマイナス2キロの520キロ。気合乗り十分の好馬体で、外見的には好調時と何ら変わりません。レースは酒井学騎手が気合をつけて外3番手から、内ワンダーアキュートと併走。勝負処でホッコータルマエが動いた際に対応できずにやや置かれ気味。既に手応えが怪しくなり、上がり3ハロンは40秒0と、完全に脚が上がった状態で何とか掲示板は確保。現状ではこれが精一杯でしょう。

6着 クリノスターオー
 過去1年、GV路線で3勝2着2回の大戦果。ただし、唯一回使ったGTチャンピオンズCは、溜め逃げを打ちながらホコータルマエ以下に決め手負け。番手OKとはいえ、脚質がバッティングするホッコータルマエとの真っ向勝負は分が悪く、馬券的には軽く見ていました。この日はマイナス2キロの542キロ。やや気負い込んでいましたが、黒光りする500キロ超えの馬体は圧倒的な迫力。レースは岩田騎手がハナを主張。ただしクリソライトに執拗に競り込まれたのが誤算。しかも手応えの差が歴然で、3コーナー過ぎに早くも交わされギブアップ。逃げが裏目に出ました。

8着 ワンダーアキュート
 コパノリッキーとニホンピロアワーズの小競り合いの漁夫の利があったとはいえ、昨年の帝王賞1着。東京大賞典の負け方が悪く衰え懸念も、かしわ記念が中身を伴った勝利で再び復活。今回も和田竜騎手。もちろん二千ベター。連覇もあるとみていました。この日はマイナス1キロの507キロ。ほぼこの馬の理想体重だし、落ち着いていたのも好感。レースは和田竜騎手が多少気合をつけて内3番手から。ポジション的には悪くありませんでしたが、勝負処でホッコータルマエが動いた際に、ニホンピロアワーズと同様に反応できず離される形。最後の直線は完全にバテて圏外。結果論ですが、この流れならもう少し抑えて行った方が良かったかも。