2008年の地方競馬で活躍した馬及び厩舎関係者を表彰する「NARグランプリ2008」が、2月5日(木)、東京・目黒の目黒雅叙園『舞扇』において行われた。


表彰馬の部門
 帝王賞を制覇したフリオーソ(船橋・川島正行厩舎)が年度代表馬・サラブレッド4歳以上最優秀馬に選定され、前年に続く2年連続の受賞となった。

 サラブレッド3歳最優秀馬は、東京ダービーを制し、ジャパンダートダービーでも4着と健闘したドリームスカイ(川崎・内田勝義厩舎)が受賞し、サラブレッド2歳最優秀馬は、エーデルワイス賞を制したアンペア(北海道・角川秀樹厩舎)が選定された。

 最優秀短距離馬は、東京盃を制したフジノウェーブ(大井・高橋三郎厩舎)が前年に続いて連続受賞し、最優秀牝馬には、スパーキングレディーカップを勝ったトーセンジョウオー(船橋・川島正行厩舎)が2年連続受賞と南関東所属馬の活躍が目立つ結果となった。


表彰者の部門
 最優秀調教師賞は、年度代表馬のフリオーソなどを管理する川島正行調教師(船橋)が7年連続、通算9回目となる受賞。最優秀騎手賞は、勝利数・収得賞金で全国1位の勝った戸崎圭太騎手(大井)が初めての受賞。最優秀新人騎手賞は、4月のデビューから激戦区の南関東で瞬く間に頭角を現し、ダートグレード競走(クラスターカップ)にも優勝した川島正太郎騎手(船橋)が受賞。

 その他、優秀女性騎手賞は、宮下瞳騎手(愛知)と別府真衣騎手(高知)がともに譲らぬ好成績で同時受賞。宮下騎手は2年ぶり8回目、別府騎手は3年連続3回目となる。ベストフェアプレイ賞は、吉原寛人騎手(金沢)が初の受賞となった。

 また、特別賞には、元地方競馬調教師でシンガポールに拠点を移し2008年に同国G1競走を制した高岡秀行調教師と、所属場廃止後も全国で騎乗を続け、2008年にはマカオG1制覇、韓国(釜山)でリーディングジョッキーに輝いた内田利雄騎手が、ともに海外での業績を讃えられ選定された。


表彰者のコメント
最優秀調教師賞 川島正行調教師(写真右)

―7年連続9度目の受賞おめでとうございます
「何度頂いても嬉しい賞ですね」

―今年期待している管理馬を教えて頂けますか
「フリオーソはじめ、3歳牝馬のネフェルメモリーやアジュディミツオーの復活に期待しています」

―中央の強豪も南関東のビッグレースに登場して迎え撃つ立場ですが
「カネヒキリがこちらのレースに今後も参戦予定とのことなので、楽しみができたと思っています」

―息子の川島正太郎騎手にはどんな騎手になっていって欲しいですか
「今後も常に新しいことにチャレンジしていって、騎手として大きくなって欲しいですね」

―最後に今年の目標を教えてください
「来年は船橋でJBCが行われるので、それに向かって頑張りたいですし、今年も気を引き締めて10度目の最優秀調教師賞を目指したいですね」


最優秀新人騎手賞 川島正太郎騎手(写真左)

―受賞の感想は
「小さい頃に父(川島正行調教師)の受賞式を見ていたので、まさか自分が同じ舞台に立てるとはという気持ちです。夢のひとつである新人賞を獲れて嬉しいです」

―昨年を振り返ってもらえますか
「初騎乗の時はやはり緊張しましたね。初勝利のレースは一生懸命になりすぎちゃったけど、勝てた時は涙がこぼれそうになりました。まだまだ取りこぼしも多かったと思っています」

―重賞も2勝しましたね
「クラスターC(プライドキムで優勝)の時は自然とガッツポーズが出ましたね。嬉しかったです」

―今年の目標は
「60勝が目標ですが、ひとつでも多く勝ってみんなに喜んでもらいたいです。また、先輩騎手の方々のいいところも見習って頑張りたいですね!」



最優秀騎手賞 戸崎圭太騎手

―史上最年少での受賞おめでとうございます
「このような名誉ある賞を頂けたのは、オーナーはじめ関係者の皆様、そしてファンの皆様の応援があってだと思っています。心からお礼を申し上げたいです」

―印象に残っているレースはありますか
「やはり東京ダービー(ドリームスカイ)ですね。馬に教えてもらったことが多かったですし、ビッグレースを勝てたのは心に残っています」

―フリオーソとのコンビでも活躍が目立ちましたね
「騎手のいうことを素直にきいてくれるし、スピードもある。どんな競馬にも対応できる馬です。カネヒキリやヴァーミリアンといった強豪をいつか負かせるはずと信じて乗っているし、次も負かすつもりで強気に乗りたいですね」

―今年期待の馬はいますか
「3歳のナイキハイグレード(川島正行厩舎)は楽しみな1頭です」

―今年の目標をお願いします
「毎年前年より1つでも多く勝つことを目標にしてきました。なので、昨年よりも多くの勝ち鞍をあげてリーディングを獲りたいし、今年はいろんな競馬場でも乗りたいです。来年もこの賞を獲ってこの場にいられるように頑張ります。応援よろしくお願いします」



最優秀女性騎手賞

宮下瞳騎手(写真右)

―受賞の感想を聞かせてください
「まさか受賞できるとは思っていなかったので嬉しいです」

―激戦区の東海で昨年は72勝、通算でも582勝。この記録については
「これまで怪我などで辛い時もありましたが、500勝を超えて現在も自分の記録(女性騎手最多勝)を更新できているので嬉しいですね」

―昨年は様々な競馬場で騎乗されましたが、印象に残るレースは
「印象に残っているのは…落馬で悔しい思いをしたことですね。関係者の方々に申し訳ないと思いました」

―今年の目標は
「怪我のなく頑張って、1つ1つ自分の記録を積み上げていきたいです」


別府真衣騎手(写真左)

―3年連続受賞おめでとうございます。昨年を振り返って頂けますか
「昨年は前年より多く勝ちたかったんですけど、思うようにいかなかったですね。ただ、2年連続で総合2位だったレディースジョッキーズシリーズで昨年総合優勝できたのは嬉しかったです」

―ロマンタッチ号で重賞も勝ちましたね
「レースは接戦だったので、ゴールの瞬間は勝ったことすら、わからなかったんですよ。実感が湧いてきたのはレースが終わってからですね」

―最後に目標を聞かせてください
「1つでも多くの勝ち星を挙げたいです。南関東は過去に浦和しか騎乗機会がないので、大井・川崎・船橋でも騎乗できたら頑張りたいですね」



ベストフェアプレイ 吉原寛人騎手

―ベストフェアプレイ賞受賞おめでとうございます
「前から獲りたいと思っていた賞ですし、実は狙っていました(笑)。嬉しいです」

―ドバイをはじめ海外での騎乗機会も多いですよね
「海外や全国で乗れるのは光栄ですし、スタイルの違いなど勉強になる部分が多いです。ドバイの時(06年アグネスジェダイとのコンビ)はレースに向けての調教にも参加させてもらえましたし、いい経験になりました」

―南関東でも騎手交流のレースで拝見する機会が多いですね
「実はイベントレースだとなかなか結果が出せなくて、トラウマになりかけていたんですよ。だから、先日の佐々木竹見カップで3位になったのは自信になりましたね」

―何か対策を練っていたんですか
「実はレース前日の夜にコースを歩かせて頂いたんですよ。真っ暗の中、一人でコース一周歩いてみて…それが良かったのかな(笑)」

―今年の目標は
「昨年は地元で重賞を勝てなかったので、今年は150勝と地元の重賞を勝てるように頑張りたいです」



特別賞

高岡秀行調教師
ホッカイドウ競馬の調教師から2002年のシーズン終了後にシンガポールに渡り2003年に同国で厩舎を開業。2008年11月にシンガポールゴールドカップをエルドラド号で制して初のG1制覇。地方競馬から海外へ進出したパイオニアとしての活躍が認められての受賞

―受賞の感想は
「シンガポールで開業して今年で7年目、まさか日本でこのような賞が頂けるとは思っていなかったので、受賞を聞いた時はビックリしました」

―ホッカイドウ競馬の調教師からシンガポールに拠点を移したキッカケは
「生で競馬をみて肌で感じて、熱いものを感じたのが大きかったですね。日本からバックアップしてくれた方々の協力も大きかったですね」

―そして昨年は同国のG1制覇おめでとうございました
「レースは2頭出しだったんですが、どちらも自信がありました。結果を出せて良かったです」

―成功の秘訣はありますか
「最初はいろいろと苦労しましたが、環境に合ったトレーニングではないでしょうか。様々な方からアドバイスや協力をしてもらって、年々プラスに繋がっていったと思います」

―今後の目標は
「色々と課題はありますが、いつか自分の管理している馬で日本のレースに出走できたらいいですね」


内田利雄騎手
宇都宮競馬廃止後は、ステッキ1本で全国・世界を股にかけて活躍中。2008年4月にマカオホンコントロフィーにてG1制覇。6月からは韓国の釜山慶南競馬場にて短期免許で騎乗し、同競馬場の年間最多賞・最高勝率・最高連対率の記録を残す。韓国・マカオでの活躍が認められての受賞

―特別賞受賞おめでとうございます
「自分の所属競馬場がなくなってしまったので、この舞台には立てないかなぁって思っていましたが、戻ってこれて嬉しいです」

―日本人初のマカオでのG1制覇ですね
「いろんな人の勧めでマカオは一昨年も乗りに行きましたが、G1勝ちですからね。レースはレベルの高い香港馬との交流レースだったので、結果を出せて良かったです」

―韓国でも大活躍でしたね
「当初は年齢の制限などでハードルがあったんですけど、周りの方のサポートもあって短期免許を取得することができたんですよ。最初の1ヶ月は3勝しかできなかったんですが、翌月から軌道に乗りましたね。自分で言うのもなんですが、快進撃ですね(笑)。本当は6月から8月までだったんですが、そのまま年末まで騎乗できたのも大きかったですね」

―これだけ多くの競馬場で活躍されている秘訣はありますか
「どこで乗るときも意識していますが、その競馬場の流れ(ペース)をいち早く掴むのが大事ですね!」

―今後の予定は決まっていますか
「現在は南関東で騎乗していますが、今年も6月くらいから韓国の釜山で騎乗を予定しています。韓国では調教についての講師を頼まれているので、その勉強も頑張っています。その前にスポット参戦という形にはなってしまいますが、北海道競馬の開幕に合わせて門別競馬場で何回か騎乗できると思います。応援よろしくお願いします」