地方競馬教養センター見学レポート

今年6月から、新たに外厩制度をスタートさせた地方競馬教養センターへ、大井TMの高橋・藤田・岩崎、川崎TMの若林の4人で先日、取材に行ってきました。
地方競馬教養センターは、NAR(地方競馬全国協会)が騎手など地方競馬を担う人材を訓練・育成ための施設です。栃木県塩原の那須連山のふもと、約30万平方メートル(東京ドームの約6.5倍)の広大な敷地です。


今回、私達を案内して頂いた所長の上田さん(左)と上山さん(右から2番目)です。ちなみに中央は高橋TM。


早速、施設を見学していると…!
厩舎地区です。
大きく分けて2つの棟があり、1つは騎手候補生の訓練馬の馬房(80馬房)。そしてもうひとつが、外厩や育成の施設として利用されている厩舎(80馬房)です。取材に行った時は66頭が入厩しており、内20頭が外厩馬として認定を受けていました。


スタッフの方々については「廃止になった競馬場から来た人など、過去に競馬場で働いた経験がある人がほとんどです」と上田さん。
主な出走場所となる大井競馬場への輸送については「約2時間30分かかります。基本的には競馬当日に輸送しています」と上田さん。
ちなみに気になる成績については「7月19日〜24日の6日間の開催で18頭出走させて、2勝を含む9頭が入着しました」と上山さん。

ウォーキングマシーンもありました。最大で6頭を収容できるそうです。


厩舎の中も見せてもらえました。


この厩舎の作りにはとある工夫があるそうです。「ヨーロッパ風に近いのですが、コの字型にすることで全てが内側から見えるようになっています。候補生達の動きも含めて、ひと目で全体を見渡せるのがポイントです。馬同士のコミュニケーションという点でもこの厩舎の形はメリットがあると思いますよ」と上山さん。


馬を洗うお湯には何と温泉が使われています。騎手候補生達も毎日温泉に浸かって疲れを癒しているそうです。飲み水には地下水を利用。自然も含めて環境の良さは折り紙付きです。


今度は馬場を見せてもらいに行くと、
1周1100Mの馬場です。曜日によって、右回りと左回りを使い分けているそうです。外部からの利用も可能で、月に10頭前後の利用があるそうです。


そして、これが08年8月に完成した坂路コースです。
画像でも緩やかに傾斜しているのがお分かり頂けますでしょうか?
全長755Mで助走路の先に3%の登り勾配が300M、5%の登り勾配部分が70Mあります。

このようにコースにはウッドチップが敷き詰められています。


駆け上がった先の頂上部分からの眺めです。実際にコースの一部を歩かせて頂きましたが、夏場ということもあり、すぐに汗が噴出してきました。


ゴール後は下りの道をのんびり歩かせて馬場に戻ります。


「馬場整備に使うハローも特殊なんだよ」と上山さんに言われ見学に行くと、
こちらが、ダートコースのハローに使う車


そしてこちらが、坂路コースのハローに使う車(パワーハローと呼ばれるそうです)
ダート用のハローと違ってかき混ぜながらコースを慣らすイメージですね。


と話をしながら馬場の方に目を向けると!
騎手候補生たちが、訓練の真っ最中。

耳にイヤホンを着けて、無線を通じて教官から指示が出るそうです。この生徒さん達は現在2年生だそうです。今後は半年間の現場(競馬場)研修を経て、来年春のデビューを目指します。ちなみに上山さんは過去に教官の経験があり、たくさんの教え子を送り出しているそうです。JRAで現在活躍している内田博幸騎手や岩田康誠騎手、南関東のジョッキーでは戸崎圭太騎手や御神本訓史騎手も教え子だそうです。

その他には手術室を完備した診療棟、装蹄棟、自然を生かした運動場、放牧馬場もあります。

このように、教養センターの施設は競馬場の施設と遜色のないことがわかります。むしろ、他の外厩施設や競馬場にはない坂路コースがあるのは魅力的なことです。

「放牧場を広くするとか、ウォーキングマシーンの増設など、まだまだ良くしていきたい所はいっぱいありますよ」と上山さん。今後も動向には注目したい施設ですね。
ということで地方競馬教養センターの見学レポートでした。

ケイシュウの紙面上では「今日の外厩調整馬」で当日の出走予定馬を一覧で掲載しているので、参考にしてみて下さい。