「そうだ、ミッドウェイファームへ行こう」 そう思ってから約半年。ようやく実現しました。
秋も深まる11月11日、朝5時30分。
船橋競馬場に、私(船橋取材班・古川里絵)、若林幹治(川崎取材班)、そして運転手を務めてくれる三浦尚久(船橋取材班)が集まりました。
ミッドウェイファームは茨城県行方市にあります。船橋競馬場からは高速道路を使って1時間ほどだそう。高速を降りてから多少迷いながら田園風景の中を進んで行くと、切り開かれた場所に出ました。そこがミッドウェイファームです。
ミッドウェイファームの設立者・宮崎利男社長は元JRAの厩務員(91年・菊花賞を制したレオダーバンなどを担当)。自らスタッフに指示を出し、最前線でミッドウェイファームを切り盛りしています。
スタッフは約25名。C・モル場長は約11か月前まで船橋競馬場で厩務員(シーチャリオット、フリオーソなどを担当)、日本に来る前はニュージーランドで調教師をしていたそうです。
お忙しい中、C・モル場長が施設を案内してくれました。

後ろ姿で申し訳ありません。
真ん中がC・モル場長。真剣に説明を聞く若林(右)、三浦(左)です。


一番手前にはスタッフの宿泊施設があり、その先に厩舎が4棟。設立10年ということですが、手入れが行き届いており非常に綺麗です。
在厩馬95頭の内、南関東所属馬は約10頭。JRA所属馬ではカフェオリンポス(04年・ジャパンダートダービー制覇)がこちらで調整されていました。


小高い丘にある厩舎群を抜けると、コースや周辺の森が見渡せます。
外コースは1周850メートル。こちらの外コースは100%ダートですが、ひとつ内のコースにはダートとウッドチップが混ぜてあるそうです。小さな工夫です。



さあ、調教の始まりです。

入厩馬をいくつかのグループに分け、集団で調教を行います。
そのグループ分けですが、『状態のいいチーム』『やや軽目調教チーム』『若駒チーム』というように、その馬の現在の状況に合わせて分けるそう。
更に、『牝馬は暑さ寒さに強い』という観点から、真冬は太陽が昇り切る前の時間、真夏は一番最後に牝馬のグループの調教を行ったりするそうです。


まずはコースの内側に入り、八の字でダクを踏みます。
そこでC・モル場長が1頭1頭の歩様をチェック。時折笑い声が聞かれ、明るい雰囲気が漂います。しかし、C・モル場長のチェックはモチロン真剣です。「○○と☆☆は咳をしていたヨ」と、側にいる獣医さんにシッカリ伝えていました。
C・モル場長は、ここにいる全ての馬を完璧に把握しています。「一番前の馬は骨折して脚にボルトが入っているんだヨ。二番目の馬は両脚がソエ。その次の馬はノドに問題があるんだ」このように全ての馬の状態の他、これまでの競走成績も頭に入っているそうです。驚きです。「でも、1か月の内に半分くらいの馬が入れ替わるから、またイチから覚え直さないとネ(笑)」


お次は外コースをキャンターで周回。
自分勝手な行動をしようとする馬には、騎乗者が声をかけてなだめます。


ピンクのヘルメットを被った方が乗っている馬はアトミック(船橋・岡林光浩厩舎)です。
私は跡見学園女子大学出身なので、アトミックの動向はいつも気になります。元気な姿を見れて良かった♪♪


その頃、コースの隣にある坂路を、1頭の馬が駆け上がってきました。スタッフさんに何という馬か尋ねると、カントリーダンス(船橋・川島正行厩舎)でした。
同馬はミッドウェイに来る前は船橋競馬場に在厩。デビュー時に担当していた厩務員さんから「この馬は相当走るよ!」と聞いていて、その期待通りの成績を収めてくれました。私も何度推奨馬にしたことか…。会えて良かった♪♪


外コースを周回していた馬達も、最後の仕上げに坂路を元気に駆け上がります。



こちらはウォーキングマシンです。ミッドウェイファームには2機あります。
真面目に歩く馬もいれば、私たちの前を通る度に顔を出そうとする馬も…。「コラッ、ちゃんと歩きなサイ!」と、C・モル場長に叱られていました。


ゲート練習機もあります。
船橋にあるゲート練習機に似ています。「錆を取って、色を塗り直しているところデス」とC・モル場長。実際にレースで使われているような立派な練習機もありました。


他にも、馴致場などの調教施設があり、更には、レントゲンやエコー検査など医療面での対応も迅速に行えるようになっているそうです。

これは調教を見る台です。カントリー調で、お花が飾ってありカワイイですね。



最後に、フリオーソ(船橋・川島正行厩舎)に会うことができました。
写真、ブレていて見づらいですけど、確かにフリオーソです。
JBCは4着でしたが、勝ち馬とは僅か3馬身差ほど。良く頑張りました。マダマダ活躍が期待できる馬です。レース前と違って厩舎では穏やかな表情。可愛い顔を写真に撮れて良かった♪♪(ブレてるけど…)

普段、私は競馬場で働いているため、牧場の方々と接する機会はありませんでした。今回の見学を通じて、こういった牧場も競馬界を支えるひとつの柱であることを知りました。調教師さん、厩務員さん、乗り役さん、獣医さん、装蹄師さん。1頭の馬が競馬場でレースに出走するにはたくさんの人が係わっていますが、生産牧場や育成牧場の皆さんの存在も忘れることはできません。レースで走っている馬達は、これら多くの人々に恩返しするために頑張っているのかもしれません。モチロン馬券を買って応援してくれる人々のためにもですね!